|| 「踊る金狼亭」TOP札楽亭>(1)撤退後に備えよう


ハマった! 作った! 配布した!
そして、その後のお話。

「その後」に何が起きるのか!?

時間が経過して生活環境が変わったり、他のものに興味が移ったり。
そうして自作物の管理が出来なく or する気がなくなり、放置状態になると、気づかないうちに配布場所がサービス終了や課金忘れなどで中身もろとも消滅したり、連絡手段が消失したりということが起こってきます。
「再公開はないのか」「入手できなくなった後も使えるか」「このような形で使って良いのか」等々の疑問に答えられる人はいません。

利用者が問い合わせできない事で、自作品が意図しない形で利用される可能性が高まります。
知っていたら許可しなかった事柄も、既に放置状態では気づくことさえできません。
特にシナリオは素材作者やカードのインポート元シナリオの作者など第三者の権利が関与している事が多く、何かあった時には彼ら関係者にも迷惑が及ぶ可能性があります。

逆に、利用者側が問い合わせできないので諦めてしまった中には、諦めて頂いて助かったという事例ばかりではなく、知っていたら許可していたのにという事もあるかもしれません。
知っていたらOKだったパターンでは、作者の側も知らない間に自作が活用される機会を失っているわけで、作者・利用者の双方にとって残念なことになります。

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「その後」の備え:(1/4)なるべく長く、自分の手元で配布を続けよう

積極的に削除する理由が無い間は、自分の管理下で配布を続けられるように準備しておきます。
<作者側利点>
  • 自分の管理下に置いておけば、作品の修正や削除などが容易。
  • いつでも入手可能なことで、知らない所で横流しされる危険が減る。
<利用者側利点>
  • 信頼できる配布元から最新版の入手が可能。
  • より長く配布が続けば、より多くの人が楽しめる。

現在活動中のサイトやブログ内の他に、
  1. Vectorのような比較的消え難そうなところにもアップしておく。
  2. 無料のオンラインストレージやアップローダを利用して複数の場所に保管し、1か所がサービス終了しても他が残るようにしておく。
といった方法が有効と思います。
予備の配布場所は、普段活動している場所からリンクするなどして、周囲に知らせておきます。
こうしておけば、もしも普段の活動場所が消えても、そこそこ安心です。

予備の配布場所は、多いほど完全消滅の危険が減ります。
一方、多いほど手間がかかる、更新時の一部更新忘れが起きやすくなるといった欠点もあります。利用者が最新版はどれか探そうとする場合に、余計な労力がかかるのも短所です。
長く配布と管理し易さを両立させるなら、ブログ(サイト)+Vector程度が適当かもしれません。
(が、Vectorが終了して阿鼻叫喚という事態が絶対に無いとは言えないので(以下略))

→Link:バックアップ方法紹介
Vectorの登録方法や、主なオンラインストレージ・アップローダの紹介を掲載しています。
いずれも、登録はそんなに難しくありません。

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「その後」の備え:(2/4)自作をどのように扱われたいか、しっかり意思表示しよう

あらかじめ問題になりそうな点を利用規約にまとめ、許可・不許可が曖昧な部分を出来るだけ減らします。
この時、将来、もしも自分と連絡が取れなくなっても大丈夫と思える程度に細かく作っておくと安心です。
<作者側利点>
  • 不本意な使われ方をされる可能性が減り、同時に望む最大の範囲での活用を期待できる。
  • 何か起きた際、意思表明を行っていた証拠として提示できる。
  • 問い合わせ対応の手間が減る。
<利用者側利点>
  • 行って良いのか駄目なのか迷う場面が減り、実際は必要のない自主規制をせずに済む。
  • 問い合わせ不要のケースが増え、利用の手続きが簡素化される。

規約はご自身のサイトやブログへの掲載以外に、個々の配布パッケージにも同梱しておくのがベターです。
そうする事で、万一配布パッケージが単体で他へ流出した場合も、規約と作品が切り離されるのを防げます。また、作品と同じ場所にあれば、読んでもらえる確率も上がると思います。
さらに、個別に許可を出した件について別途サイト上などにまとめておくと、より安心です。

オプションとして、魚拓系のサービスを利用して、ご自身の手で規約や個別許可リストのキャプチャを作成しておくと、完全消滅の危険を減らせます。可能ならご検討ください。

→Link:意思表示テンプレート
問い合わせの実例などを募集し、問題になり易そうな事柄をまとめたテンプレートです。
良かったらご利用ください。

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「その後」の備え:(3/4)著作者情報を整理しておこう

自分以外に関わった人がいる場合、誰がどのように関わっているのか明確にしておきます。
関わった人の例としては、素材の作者の方や、インポートしたカードの作者の方などが挙げられます。
<作者側利点>
  • お勧め作品・作り手を利用者に紹介できる。
  • 自分の撤退後、自作を利用しようとする人が関係者の同意を取り付けやすくなる。活用促進。
    (ただ一人全てを把握している作者と連絡が取れない状態で、誰が関わったか漏れなく調べるのは、実際問題としてほとんど不可能です。)
  • (利点以前に、やらないと拙い(著作権法的に))
<利用者側利点>
  • 作品に関して何か行おうとする時、関係者の同意を取り付ける or 確認するために必要。

CardWirthシナリオでは、著作者情報をreadme.txtに書くのが一般的なようです。
シナリオ以外についても、特別な閲覧ソフトが不要なテキスト形式にするのが無難と思います。
詳細は、1つ下の行のリンク先をご覧ください。

→Link:著作者情報の書き方
タイトルの通り、著作者情報の書き方がメインです。
(2)著作権のことも併せてお読みいただければ幸いです。

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「その後」の備え:(4/4)長期使える連絡手段を確保しよう

タイトルそのまんまです。
何でも良いので、5年後、10年後でも使えそうな連絡手段を確保しておきます。
一生連絡取れるぐらいだと、なお良し?
<作者側利点>
  • 必要な時に問い合わせしてもらえる。分からないまま見切り発車されない。
<利用者側利点>
  • 必要な時に問い合わせできる。確実に許可を得てから動ける。

Outlook.comやGmailなど、無料でも長く使えそうなメールアドレスはあります。
プロバイダメールのエイリアス機能を使い、ネット関係専用の連絡窓口を準備しておく手もありそうです。

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重要! 備えは<今>!

備えは、普通に活動できている間に行っておく事が重要です。つまり、「今」です。

えー面倒くさい、撤退する時でいいだろ、と思うなかれ。
就職・進学などでリアルが忙しくなったり、他のゲームにはまったりして、CardWirthもしくはネット自体に関わる余裕が無くなった未来を想像してみて下さい。
その時、新しく音信不通に備えた規約テキストを書いたり、長期保存ができる保管場所を探して自作品を移動させたり、それらが利用者に分かるように案内を出したりできるでしょうか?

多分、他で忙しくなってからでは無理です。準備は今!

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さいごに 〜自分自身の問題として

「使われ方でトラブルになったりするのは、ごく一部の人気がある人だけでしょ?」
「私のシナリオ or 素材が消えたって、身近な友人が気づく程度だし」

そんなふうに思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ネットに公開した以上、不特定多数の人に見られている可能性があるのです。
あなたの作品は、あなたが考えるより広く知られていると思って下さい。良いと思っても直接作者に伝えたりできない、シャイな人は多分たくさんいます(事実私がそうだとかは(げほごほげほごほ;))
ぜひ一度、あなたご自身の問題として考えてみて頂けないでしょうか。

なお、ここに書いた事は、あくまで私案です。
未来への備えは、この通りでなくても構いません。あなたが有効だと思う事を実行してください。

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