2014年10月のMicrosoft月例アップデートで、KB2885699ではない新しいWindows 8→8.1アップデート通知(逃げ道なし?)がインストールされたかもしれない、という話です。
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先日(10/15)、Windows 8.1にアップデートしてネットワークアダプタが認識されなくなり(つまりはネットが使えなくなり)、リフレッシュ機能を利用してWindows 8に戻したことがありました(※前回の記事参照)。
この時は無事に8に巻き戻り、更新通知を表示するKB2885699もアンインストールして、これでしばらくは煩わされずに済むと思っていました。
ところが、昨日(10/21)再度アップデート通知が表示されました。
KB2885699は削除済みなので、別の何かによって表示されているのかもしれません。
ここで、マイクロソフトコミュニティの記事「Windows8.1に強制アップデート?」をご覧ください。一番上の返信に2種類の通知例が画像で示してありますが、今回表示されたのは下の方。
私が見たものは、アップデートのタイミングを、「今すぐ」「1時間後」「2時間後」「4時間後」から選ぶようになっていました。以前の通知にあった「後で通知する」選択肢はありません。「はい」か「Yes」か、です。よく考えれば、前回も下の方の表示でした。
調べてみると、新しい種類のアップデート通知の話題が、ちらほら出てきているようです[1][2]。
<目次>
【アップデート通知の非表示化(1):主に更新プログラム関連】
以下、混乱が無いように、
- 「Windows 8.1(無料)に更新する」というタイトルで「ストアにアクセスする」か「後で通知する」を選ぶものを 『従来型の通知』
- 「Windows 8.1 へのアップデート」というタイトルで「今すぐ再起動」「1時間後」「2時間後」「4時間後」(「後で確認する」)から選ぶものを 『新しい通知』
と呼ぶことにします。
単に「通知」の場合は双方を指します。
今出ている情報を総合して、対策として出来そうな事は以下の通りです。
参考にしたサイトを最後の参考の欄に挙げていますので、そちらも併せてご覧ください。
いずれも、試される際は自己責任でお願いします。
しっかりアップグレードの準備が整うまで、これらで時間稼ぎです。
Windows 8.1への更新準備を行うための更新プログラムKB2871389を削除します[3]。
通知はアップデート可能な条件が揃えば表示されるものらしく、敢えて条件を外しておく方向性の対策です。
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(この記事の時点で)8.1へのアップグレードに必須の更新プログラムである他、(2)で述べるKB2973544、KB3008273適用の必要条件にもなっています。
今のところ、強制的なものに対する備えとしては、これを切っておくのが最も有効と思います。
通知を表示させる更新プログラムKB2885699を削除します[4]。
KB2973544はKB2885699を書き換えるものです。あれば、KB2885699と共に削除します。
これらがWindows Updateに再表示される場合は、非表示にしておきます。
ただ、これは従来型の通知を表示しない方法として紹介されてきたものです。
前述の通りKB2885699を削除済みの状態で新しい通知が表示されましたので、新しい通知の抑制には(これだけでは?)効果がない可能性もあります。
KB3008273は10/28公開の推奨される更新プログラムで、KB2973544を書き換え、自動的にWindows 8.1へのアップグレードを有効にすると説明されています。これも、あれば削除します。
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KB3008273のリリース前から新しい通知が表示されていましたので、この項に書いた3つの更新プログラム以外に、一見して分からない形でアップグレードに関する更新が入っているものと思われます。
念のため3つとも削除しておくのがベターですが、他の対策と併用する事をお勧めします。
(※TechNet Blogsの説明では、KB3008273を削除し、その後再びインストールしなければ、少なくとも今回の新しい通知は出ない事になっています。)
(3)レジストリの書き換えでアップデートを抑制する
レジストリに関しては、2つ情報が見つかりました。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\WindowsStore キー(←無い場合は作成)下に DWORD値「DisableOSUpgrade」を作成し、値を「1」に設定[5][6]
(=グループポリシーにおいて「最新バージョンの Windows に更新するストアのオファー」を無効にする)
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup\UpgradeNotification キー下のDWORD値「UpgradeAvailable」を「0」に設定[3][6]
書き換え後、設定を反映させるために再起動します。
念のため、レジストリの編集前に復元ポイントを作っておくことをお勧めします。
(※既に「○時間後」を選んでいる場合、レジストリ変更後の再起動によってアップデートが始まってしまいます。ご注意下さい。→アップデートをキャンセルし、回避する方法について)
(4)詳しいことが分かるまで、10月の月例アップデートの適用を保留する
新しい通知による真の意味での強制アップデートの話が出始めたのは今月半ば頃らしく、月例アップデートで何かあった可能性があります。私が最初に新しい通知を見たのも、10月アップデートの翌日、10/15でした。
Microsoftのカスタマーサービスで直接そのような話を聞いたという情報も[7]。
まだインストールしていない場合は保留し、インストール済みの場合はコントロールパネルの「プログラムと機能」で「インストールされた更新プログラムを表示」して、インストール日が2014年10月のものを一旦削除します。
ただし、当然ながら、更新を行わない(取り消す)ことで不具合や脆弱性が放置されるリスクはあります。
10月アップデートを行っていない端末をターゲットにした攻撃コードが出回っているとのことなので、リンク先に書かれている脆弱性に関するものだけはパッチを当てた方が良いかもしれません。
(5)それでも通知が表示されたら、Alt+Ctrl+Delでメニュー画面に逃げてシャットダウン「今すぐ」以外を選んでストアからキャンセルを試みる
通知が表示されると他のことは何もできなくなりますが、Alt+Ctrl+Delは効くとのことです[1]。とにかく何も選ばずに終了させれば、その場は逃れられそうです。
再度電源を入れてすぐに通知が再表示されないようなら、上の対策を実行してみるのも良いと思います。
(11/13追記)
新しい通知で「○時間後」を選んだ後、ストアからキャンセルできるようです。
→アップデートをキャンセルし、回避する方法について
【アップデート通知の非表示化(2):その他の予防策】
内容を確かめないまま自動更新でアップデートに関わるものを入れてしまわないよう、Windows Updateの設定を変更しておくと、より安心かもしれません。
- 重要な更新プログラムを「確認するが、ダウンロードとインストールを行うかどうかは選択する」に。
- 推奨される更新プログラムを「重要な更新プログラムと同様に通知する」のチェックを外す。
(※KB2885699は「推奨」でした。ふるい分けの一助として。)
- Windows Update実行直前に、必ずコントロールパネルの「回復」→「システムの復元の構成」から復元ポイントを作成する。(何か起きた際の巻き戻し用)
- 参考にしたサイトの中では取り上げられていませんでしたが、推奨される更新のうちKB2917499、KB2957026もアップグレードに関わるものです。当面Win8.1に変えるつもりがなければ、消してしまっても良いかも。
【アップデートをキャンセルし、回避する方法について】
22日時点では発見できませんでしたが、今後、実際始まるまでにキャンセルする方法について情報が出てくるかもしれません。まずはキャンセルの方法を探してみてください。
11/4付で、TechNet Blogsにキャンセル方法などが載りました。以下のリンク先をご覧ください。
→「Windows 8.1 へのアップデート」 と表示された場合 - CS3 Windows
【通知を表示しないために色々やってみた結果】
- KB2871389をインストールしない。
- KB2885699、KB2973544、KB3008273をインストールしない。
- 念のためKB2917499、KB2957026をインストールしない。
- 回避策(3)に書いたレジストリの編集(2か所)
を対策として実行した上で、10月の月例アップデートの「重要」カテゴリを表示されただけ全て(下のおまけ1でASP.NET MVC関連を除く全て)インストール。今のところ新しい通知は表示されていません。
↓参考:現在のストアの様子。
(2015/04/26 追記)
環境が整ったのでアップデートしましたが、この記事の時点からの約半年間、通知の類が出現することはありませんでした。いちいち対応に煩わされることなく時間稼ぎできました。[追記ここまで]
【おまけ1:2014年10月14日公開の更新プログラム】
(1)重要
- [MS14-056]Internet Explorer 用の累積的なセキュリティ更新プログラム
- KB2987107 Windows 8 for x64-based Systems 用 Internet Explorer 10 の累積的なセキュリティ更新プログラム
- [MS14-058]カーネル モード ドライバーの脆弱性により、リモートでコードが実行される ...の関連
- KB3000061 Windows 8 for x64-Based Systems 用セキュリティ更新プログラム
- [MS13-060]Windows OLE の脆弱性により、リモートでコードが実行される ...の関連
- KB3000869 Windows 8 for x64-Based Systems 用セキュリティ更新プログラム
──────
上記3つの脆弱性については、独立行政法人 情報処理推進機構サイトに警告が出ています。
→http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20141015-ms.html
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- [MS14-057].NET Framework の脆弱性により、リモートでコードが実行される ...の関連
- [MS14-059]ASP.NET MVC の脆弱性により、セキュリティ機能のバイパスが起こる の関連
- その他
- KB3001237 Windows 8 for x64-based Systems 用 Internet Explorer Flash Player のセキュリティ更新プログラム
(マイクロソフト セキュリティ アドバイザリ: Internet Explorer 上の Adobe Flash Player の脆弱性に対応する更新プログラム)
- KB2973501 Windows 8 for x64-Based Systems 用セキュリティ更新プログラム
(Windows 8 および Windows Server 2012 の RDP の制限された管理をサポートする更新プログラム)
- KB2977292 Windows 8 for x64-Based Systems 用セキュリティ更新プログラム
(マイクロソフト セキュリティ アドバイザリ: TLS の使用を可能にする Microsoft EAP 実装の更新プログラム)
- KB2975331 Windows 8 for x64-Based Systems 用更新プログラム
(Windows RT、Windows 8 の Windows Server 2012 の更新プログラムのロールアップ:2014年 8 月)
※サポート文書におけるリリース日は「2014 年 9 月 2 日」だが、Windows Updateでは公開日「2014/10/14」と表示されている。
- KB2984005 Windows 8 for x64-Based Systems 用更新プログラム
(Windows RT、Windows 8 の Windows Server 2012 の更新プログラムのロールアップ:2014年 9 月)
- KB890830 Windows 8、8.1 および Windows Server 2012、2012 R2 x64 Edition 用 Windows 悪意のあるソフトウェアの削除ツール - 2014 年 10 月
(2)推奨
- KB3000988 Windows 8 for x64-Based Systems 用更新プログラム
(MSIパッケージでインストールを行う際、「ユーザーのプロファイルは一時プロファイルです」というエラーが表示される)
(3)オプション
- KB2995387 Windows 8 for x64-Based Systems 用更新プログラム
(Windows RT、Windows 8 の Windows Server 2012 の更新プログラムのロールアップ 2014年 10 月)
……など?
【おまけ2:Windows 8.1をWindows 8に戻す】
何らかの事情で事前回避に失敗した場合、一旦アップデートが終わった後でPCのリフレッシュか、それが無理ならリカバリディスクを使った初期化などで対処することになります[8]。まずは、それらに備えて重要なデータや設定のバックアップを行うことをお勧めします。
<リフレッシュによる巻き戻しを検討されている方へ>
いくつか注意した方が良い点があります。
また、カスタム回復イメージの利用をお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、Windows 8で作成したカスタム回復イメージはWindows 8.1では使えません。
その辺の対策も含めて、事前に実際やってみた際の記録をお読みいただければ幸いです。
【おまけ3:Windows 8.1にアップグレードする前に】
メーカー製のパソコンを使っているなら、まずメーカーのサイトをチェックする事をお勧めします。恐らく、アップグレードの際に注意すべき点や、アップグレードすると使えなくなるものなどを書いた記事が存在していると思います。
周辺機器やアプリケーションは、事前に互換性を確認しておきます。
・製造元や販売元サイト、製品の取扱説明書などを調べる。
・Microsoftのアップグレードアシスタント・互換性センターでもある程度チェック可能。
・↑で確認できない時は、可能なら製造元サポート窓口へ。または代替手段を準備。
・(どうしようもない時は諦めるしか。。。)
【参考】
[1] Windows8.1に強制アップデート? - マイクロソフトコミュニティ(2014/10/15)
[2] Windows8から8.1へupdateを促しについて - マイクロソフトコミュニティ(2014/10/09)
[3] How do I stop Windows 8.1 Upgrade message? - マイクロソフトコミュニティ(2013/10/21)
[4] 「Windows 8.1 (無料)に更新する」メッセージを非表示にする方法
[5] Windowsスマートチューニング - Win 8編: Windows 8.1へのアップデートを抑制する|マイナビニュース
[6] Windows 8.1アップグレードの更新通知が表示されるようになるタイミングについて - マイクロソフトコミュニティ(2013/11/08)
[7] Windows8 10月14日公開 update の、KB何番が8.1に促すものでしょうか? (あらゆる理由から8で使用し続けていきたいので) - マイクロソフトコミュニティ(2014/10/19)
[8] windows 8をアップデートしてWindows 8.1にしましたが、Windows 8に戻せるのでしょうか? - マイクロソフトコミュニティ
(参照日:2014-10-22,2014-10-24,2014-10-25)
※※※
私はWindows 8.1を使いたくないわけではなく、ネットが使えなくなる問題を解決してからアップデートしたいだけでした。色々と痛い出費が続いて資金が底をついている現在を避け、来年余裕ができた頃に環境を整えて実行しようと考えていました。
同じように、「“今は”困る」という人もいるだろうと思います(仕事で使っている場合特に)。
今後はアップデートに関わりそうなKBをインストールしない方向で行こうと思いますが、第二、第三の新しい通知が出てきたら、全て回避するのは難しそうです。
問題解決するまでは、何かあってもすぐに巻き戻せる状態を作っておくこと、ですかね。
※※※
蛇足:強制アップデート完了後の話。(→詳細)
前と同じに即リフレッシュすれば良かったのに、何とか8.1のまま使えないかと無駄な足掻きをしたお陰で正常にログオンもセーフモードでの起動もできない状態になりました。
仕方ないのでリカバリで初期状態に戻し、今何とかネットにつなげるようになったところです。更地からの復旧になるため、先は長そうです。
(※注:上の「今ネットに~」は、この記事を投稿した10/22の話です。)
自ら罠にはまるパターンは、今回で終わりにしたいものです。
現在、バックアップと、Windows XP→8の乗り換え時に書いておいた普通に使えるようにするまでの手順書が大活躍中、、、
※※※
この記事は10/22 22:54に投稿後、何度か更新しています。
・10/22 投稿(22:54)
・10/24 情報追加
・10/25 文章がおかしかった部分を修正
・10/26 セキュリティに関する情報等を追加
・10/27 KB2957026に関する情報を追加
・10/28 KB2917499に関する情報を追加、タイトル微変更
・10/29 おまけ追加
・11/08 KB2885699→KB2973544ラインの調査からKB3008273関連追加
・11/09 再起動タイミングを選んだ後のキャンセル方法について
・11/13 再起動タイミングを選んだ後のキャンセル方法について更新(情報提供:@toranori_aiba様)
公式的情報の出現に伴い、内容を整理。
(2015年6月追記)
Windows 10への無償アップグレードが始まっています。
8→8.1の時と同じく、アップグレードできる環境なら案内が表示されるようです。
アップグレードの準備が整うまで案内を表示させたくないときは、KB3035583(推奨扱い)のインストールをしないでおくと幸せになれます。