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01:カードワースとの出会い

私がCWと出会ったのは、本当の本当に、単なる偶然だった。
当時、私は今よりずっと暇人で、暇に任せて何かタダで遊べるゲームでもないかとVectorをウロウロしていた。
その時、ふと目に止まったのがCardWirth スタートパック
「テーブルトークRPGとカードゲームの融合によるマルチシナリオRPG」とある。

まず、なんとなく「RPG」という言葉に惹かれた。
カードゲームにはさっぱり馴染みがなかったが、TRPGに関しては、昔、某和製TRPGのルールを勉強して遊んだことがあるし、広義のRPGという意味で言えば色々なRPG系のコンシューマゲームにハマった経験もある。

ただし、これまでの経験から考えて、過大な期待はできなかった。
ネット上で入手可能なフリーのRPGゲームで「良作」と呼べる物に当る確率は、けっこう低い。
多くは一度クリアしたらそれまでか、酷い場合には途中でやる気が失せるようなものもある。

ここで、「マルチシナリオ」の文字に興味を持った。
改めて見ると、VectorのCWカテゴリには多数のシナリオが登録されていた。
これを片端からやっても、しばらくは持つ。
さらに、自分でシナリオを作るためのエディタもあるらしい。自分でシナリオを作れば、もうしばらくは遊べる。
そうやって、1か月かそこら暇つぶしできれば良い、と思った。

CWで当分の暇つぶしをする事に決めた後、制作者サイトへ飛んだ。
どうせ後から少しは作成の方も試すと思い、エンジンとエディタの両方を含む「フルパック」をダウンロードした。
そして、とりあえず適当にキャラを6人作成。
パーティーを組んで、リューンで技能やアイテムを買い、それから「教会の妖姫」を選択した。
これこそ、運命の選択だった。最初にやった「教会の妖姫」が面白くて、仕組みがどうなっているのかとエディタで覗いたことで、作成側に興味が大きく傾いたのだ。

ここでTRPGの王道を踏んで「ゴブリンの洞窟」を先にやっていたら、その後の展開は少し違ったかもしれない。
また、最初にスタートパックをダウンロードしていて、中身を覗くにも、これからさらに長時間かけてエディタをダウンロードしなければならない(注:当時は一般家庭に高速回線など無いのが当たり前、通信速度がkbpsで語られる時代でした)ということだったら、やはりシナリオプレイへの道に進んで、作成は後回しになっただろう。
実際には、この後すぐにゲームをやっている暇が無くなって、徐々にCWから離れることになった。その時点でシナリオプレイだけだったら、今になって再度CWにハマることはなかったに違いない。

さて。「教会の妖姫」を遊んだ次の日には、エディタのヘルプに掲載されている「シナリオ作成講座」に従ってダンジョンを作っている自分がいた。もはや、シナリオを遊ぶ方はどうでも良くなっていた。
こんなにすんなりと遊ぶ側を捨てて、作成側にハマってしまったのには、ちゃんと理由がある。それは次回。

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