05:シナリオ作成の理由と目標

CWのユーザーの中で、自分でシナリオを作っている方は数多いと思う。
面白いシナリオを作って皆を楽しませようと、日々努力している方もおられるだろうが、私はとてものこと、そこまでの域に達してはいない。
私がシナリオを作るのは、第一に「自分が楽しいから」だ。
第一の理由が「自分」というのは、あまりいただけない事かもしれない。
しかし、私にとってシナリオ作成はあくまで「趣味」であって、「メシのタネ」ではない。自分よりプレイヤーの事を先に考えろと言われると反論できないが、「趣味」なのに自分自身が面白くなくては、やっていけないと思うのも事実だ。

まず、いろいろな物語や、その設定を考えるのが面白い。
登場人物を配置し、自分が考えた事をイベントとして表現する過程も楽しい。
それだったら別にCWじゃなくても、小説もどきでも書いて自己満足していればいいと思われるだろうが、CWにはCWにしかない利点がある。
CWの利点、それはただ決まった筋に従って文章を追っていくだけではなく、遊び手側にある程度、行動や選択の自由があることだ。
ただ読まされるだけの小説ではなくて、PCの視点を借りて主体的な意志を持って参加できるゲーム。ここのところが、どうやらツボだったらしい。
で。せっかく遊び手側が参加できる形態なのだから、どうせなら遊び手側にも楽しんでもらえるといいと思う。

最初に自分が楽しいから趣味で作るのだと書いたが、趣味で作って無料で公開するものだから何を作っても良いかといえば、そうでもないと思っている。
自分が遊ぶ側の立場だったらと仮定する。遊ぶ側がゲームをするのはなぜだろうか? やはり娯楽を求めて、ということになるだろう。
例えば何かのシナリオをダウンロードして遊んで、その結果「ダウンロード損だった!」ということになったら、遊ぶ側の立場としては、目も当てられない。
私は、作り手と遊び手は、ギブアンドテイクの関係で結ばれていると考える。
私の作成物は、基本的に「自分の楽しみのために趣味で作るシナリオ」なのだが、だからと言って遊び手側が何も得られないという事態は避けたい。
そこで、そのギブアンドテイクの最低ラインとしての目標を設定している。

  目標:「目指せ、暇つぶし

誤解のないように説明しておくと、私が暇つぶしをするというのではなくて、遊ぶ人に、最低「まあ、暇つぶしぐらいにはなったよ」と言ってもらえるレベルのものを作る、ということだ。
自作シナリオを人に遊んでもらうという事は、その人の貴重な時間を奪う事、せめて「暇つぶし」程度には得るものがあるようにしたい。
目標が低い? いや、目標が低いぐらい、自分にも分かっている(苦笑)。
あまり理想を高く掲げても、たぶん自分には手が届かない。それで、とりあえずのところが「目指せ、暇つぶし」だったりする。

作り手である私は、ストーリー作成やイベントの演出を楽しむ。
遊び手の方々には、出来上がったシナリオで楽しんでいただく。
そういうふうにできたら、どんなに良いだろうか。
私は、CWの芸術家にはなれなくていい。
地味で見栄えがパッとしなくても、最低限の実用に耐え得るものを作る、職人でありたい。努力あるのみ、か。努力は嫌いなんだがなぁ…