|| トップページ「Star Ocean 2」十賢者>裏考察


前へ|次へ

第1〜9回の正式考察の中で、筆者は「ランティス博士は宇宙の破壊を止める歯止めとしてフィリアの思考ルーチンをガブリエルに組み込んだ」と書いた。娘の死がもたらした衝撃も、博士の良心と理性をすべて失わせることはできなかっただろうと思う。
しかし一方で筆者は、崩壊紋章の発動に至るすべての出来事がランティス博士の緻密な計画によって予定されていたことではないだろうかという恐るべき疑惑を、捨て去ることができない。
ガブリエルに自分や娘の思考ルーチンを組み込んだのも、プログラム・フィリアがガブリエルの目的に反する行動を取ったのも、娘の死によって完全に狂気に支配されたランティス博士が、「全宇宙の破壊」という究極の復讐を実現するために仕組んだ事だったという可能性は皆無だろうか?
以下の裏考察は、正式考察で書いた推論が筆者にとっての真実であるという前提で、あくまで可能性として読んでみていただきたい。

エクスペルでのフィリアは、十賢者の宇宙征服計画によって無駄な死者がでないようにしようとしていた。これだけなら、筆者はフィリアは十賢者たちがしようとしていることをできれば止めたいと思っていたと考えて、疑うことはなかっただろう。問題は、セントラルシティーでのPAだ。
このPAで筆者が何に引っかかっているかと言えば、フィリアの死によってガブリエルのリミッターが解除され、破壊兵器としての真の力が発現するという事実だ。フィリアの死は、その理由が何であるかにかかわらず、結果的に「全宇宙の破壊」を有利に導いてしまう。
さらに、ラスボス戦でガブリエルに勝利した後の会話を思い起こしていただきたい。
通常戦後のガブリエルのセリフに、「我々が死ねば、崩壊紋章が作動するようになっている。我々の目的は達成できるのだ」というものがある。しかし、真ガブリエル戦の後では、同じセリフが「私が死ねば〜…」となっている。そう、「我々」と言っていたのが、「私」になっているのだ。
筆者は、長い間このセリフを簡単に聞き流していて、「我々」というのは十賢者全員を指すものと思っていた。しかし、そうではない。フィリアを消去した後で「我々」が「私」になっているのだから、彼の言う「我々」とは、「自分とフィリア」という意味なのだ。
すなわち、このセリフの真の意味は、「私とフィリアの目的(=全宇宙の破壊)は達成できるのだ」となる。ガブリエルは、全宇宙の破壊はフィリアの目的でもあったと言っているのだ。

プログラム・フィリアが全宇宙の破壊を望んでいたとして、2つの場合が考えられる。
それがランティス博士が意図して仕組んだ事だった場合と、ランティス博士の意思に反してフィリアが全宇宙の破壊を望むようになった場合である。
後者が正しいとすれば、フィリアこそガブリエルにおける最大のバグだったことになる。だが、フィリアが「博士の意思に反して」滅亡を望んだのであれば、ランティス博士自身は宇宙の破壊を望んでいなかったのだから、正式考察で述べたことから大きく外れはしない。
問題となるのは、最初からランティス博士が全宇宙の破壊をフィリアの最終目的として設定していた場合だ。もしもそうなら、正式考察の第3回以降で述べたことは全て根底から覆ってしまう。
十賢者がどのような方法で造られたかや、ランティス博士が反乱を決意した理由までは第1回、第2回で述べた通りだろう。だが、その後が全く違ってくる。
正式考察の第7回で、筆者は、ランティス博士は自分の目的が達成されないことを密かに願って、リミッターの役割を持たせたフィリアの思考ルーチンをガブリエルに組み込んだのだろうと述べたのだが、それが全く正反対だったとしたらどうだろうか。
後編では、フィリアの目的が最初から「全宇宙の破壊」に設定されていた場合について、詳しく考えていくことにする。

前へ|次へ