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前編で、ランティス博士が、フィリアの目的を最初から「全宇宙の破壊」に設定していたかもしれないと述べた。もしそうだとしたら、彼女が自分を殺させようとしたのは自らの目的を達するための一手段だった可能性が高い。本人がリミッターとしての役割を知っていたかどうかは分からないが、ランティス博士が、宇宙破壊の準備がある程度整った時点で破壊兵器ガブリエルの真の力が解放されるように、擬似人格フィリアの自殺をプログラムしておいたというわけだ。
だが、自らの目的を達するために娘を模して作ったものすら利用しようとは、これが娘を愛する父親のすることだろうか。反乱を決意した博士にはもはや人間らしい心など欠片も残っておらず、ただ全てを破滅させたい妄執から、目的のためには手段を選ばなかったとしか考えられない。

ガブリエルを除く9人については、正式考察の第3回で述べたような理由で、行動目的を完全に「支配」から「破壊」へ書き換えることができなかったと思われる。そこで博士の復讐は、最後に残ったガブリエルに託されることになる。
ランティス博士の復讐のシナリオは、次のようなものだっただろう。
まず、ガブリエルが途中で最終目的を放棄するようなことがあってはならない。
ガブリエルはあくまで生体兵器であって完全にプログラムのみで動く機械ではないのだから、目的設定や思考パターン設定が甘いと、途中で気が変わったりすることも考えられないでもない。
そこで、最初に「自分が存在する意味は、全宇宙の破壊を達成することだ」という核になる意識を植えつける。これは、ほとんど強迫観念とも言うべき強いものだ。
同時に、全宇宙の破壊をより強く意識させるために自分の思考ルーチンを組み込んでおく。この思考ルーチンは自分自身の思考を模したものだが、人間的感情よりも宇宙の破壊を優先するように作っておいただろう。目的から逸れないように、監視する意味もあったかもしれない。
第二に、初期状態ではガブリエルの能力に対して抑制機構が働くようにしておく。
最もあり得る理由は、ガブリエルの全能力が開放されると本人の身体にかかる負担が大きく、実際に宇宙を破壊する前に、ガブリエルに故障が生じる恐れがあるということだ。
宇宙破壊の準備が整い、いよいよ最後の一手となったところでフィリアを消滅させ、ガブリエルが能力を100%発揮できるようにする。そうすることによって、より安全に、最終兵器であるガブリエルの負担が軽くなるような方法で、「宇宙の破壊」という目的を達成しようという計画だ。
また、ランティス博士はリミッターを娘のフィリア、すなわちガブリエルにとって大切な相手と認識される人物を模したものにすることで、失った場合、その喪失感からガブリエルに周囲を破滅させようとする意志が生じるように計画していた可能性もある。
フィリアが自殺できない以上、彼女が消えるためには誰かに殺されるか、ガブリエル自身が消去するしかない。前者ならガブリエルの他者に対する憎しみが強まるし、後者なら大切な人を殺した動揺からよりいっそう滅亡を望む気持ちが強まるだろう。

すべてがランティス博士の計画だったという仮説を筆者がとりあえず捨てたのは、フィリアが自殺できないようにプログラムされていたという事実があるからだ。もしガブリエルがフィリアを消去することを踏みとどまったり、誰もフィリアを殺さなかった場合、博士の計画には狂いが生じてしまう。フィリアの死が予定された物だったのなら、自然消滅するか、簡単に自殺できるようにしておいた方が簡単だ。
ランティス博士がフィリアの死を予定していた可能性を完全に否定はしきれないものの、やはり正式考察の方が正しいように思う。

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