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前編では、十賢者のうちガブリエル以外の9人の目的が「宇宙の支配」であることについて私見を述べた。今回は、いよいよガブリエルの行動基準について考えることにしよう。
以下は、シークレット情報に推測として述べられている十賢者たちの最終目的の書き換えと、ガブリエルにランティス博士の思考ルーチンが組み込まれた事が真実だったとしたうえでの仮説であることをご了承いただきたい。

さて、ガブリエルの思考が、1人だけ他とは違う理由は何だろうか。
まず、「宇宙を支配する」という目的があることだが、これは前編で述べた「ガブリエルには既に反乱軍鎮圧のための思考ルーチンが組み込まれていた」という仮定によって説明できる。
つまり「支配」は、最初にガブリエルに与えられた行動目的だ。
次に、「宇宙を破壊する」目的が、最終目的の書き換えによって付け加えられた。
ガブリエルは未完成だったのだから、「支配」を完全に「破壊」で上書きすることも可能だったと思うが、何かの手違いで最初の目的である「支配」が残ってしまったのだろうか。もしくは、やはり生身の身体なので、一度設定した目的を消すことはできなかったのかもしれない。
しかし、書き換え時に既に完成していた他の9人とは違い、ガブリエルの場合は最初から「破壊」目的を持った状態で起動され、「支配」目的が記憶として固定化されることはなかった。そのため「破壊」の方が優勢となったのだろう。
そして、最後にランティス博士の思考ルーチンが組み込まれたわけだが、同時に博士の記憶も組み込まれた節がある。この博士の記憶が曲者だ。
ガブリエルにはフィリアの記憶がある。セントラルシティーのPAでフィリアと会い、ランティス博士の意識が目覚めた後でガブリエルがフィリアの名を口にするのは何も不自然ではないが、そうでなくても戦闘前に「さて、フィリアよ…」という台詞がある。このことから考えて、博士の思考ルーチンと共に、記憶も何らかの方法でデータ化して移植されているのだと思うが、それによってガブリエルは他の9人よりも人間らしい思考をするようになってしまったのではないだろうか。

ガブリエル以外の9人は、最初から生体兵器として造られ、育てられた。宇宙を支配せよ、または破壊せよと命じられれば、兵器として何の疑問ももたず、命令を実行するだろう。
しかし、ガブリエルには兵器としての行動基準の他に、ランティス博士の思考と記憶がある。それは、人間として歩んできた過去の歴史だ。
ガブリエルの内部には、「支配」または「破壊」のための行動基準を持つ破壊兵器ガブリエルの人格と、これまで長い間人間として生きてきたランティス博士の人格が混在しているわけだ。

さらにややこしいのは、ガブリエルの記憶の問題だ。
筆者は、博士は十賢者たちを遺伝子操作で造った後は、DNAの成長因子に細工しておくかなにかして短期間で現在の姿にまで成長させたと思っているので、この場合だと、ガブリエルには兵器として起動される以前の記憶はないことになる。
目覚めた時、破壊兵器ガブリエルの人格とランティス博士の人格、そしてランティス博士の記憶を持っていたわけで、ガブリエルにおいては同じ記憶を2つの人格が共有していることになってしまう。そして、「破壊兵器ガブリエル」にも人間・ランティスの記憶があったことが、彼の行動を複雑なものにした原因と思われる。
兵器として働くには、人間的な感情は不必要だ。兵器としての行動基準を持ちながら博士の記憶から来る人間的感情をも併せ持ち、その辺りから来る矛盾が、ルシフェルに「バグだらけの欠陥品」と言われてしまう所以だろう。

後編では、ガブリエル最大の謎、その行動の方向性が一貫しないことについて考える。
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