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今回は、フィリアがガブリエルのリミッターとなっている理由について考えてみよう。
ランティス博士は、どんなつもりでフィリアの思考ルーチンをガブリエルに組み込んだのだろうか。

博士が反乱を思い立ってからネーデ駐留軍に鎮圧されるまで、長くて数日だっただろう。
フィリアの思考ルーチンを完成させても、急にはそれをを組み込むボディを準備できなかったことは理解できる。そのため、とりあえず未完成の素体ガブリエルに出来上がった思考ルーチンを組み込む。これ自体は、何も不自然なことではない。
この場合、フィリアがガブリエルの能力を抑制する働きをしていたことについてまず考えられるのは、それがランティス博士の意図するところではなかったということだ。
ランティス博士は純粋にフィリアを残してやりたいだけだったが、同時に自分の思考ルーチンを組み込んだことによってガブリエルが常に彼女の存在を意識することになり、結果的に人間としての感情が優先されて能力を出し切れなくなったという仮説である。
ありえないことではないだろう。だが、筆者は敢えてこの仮説を採用しないことにする。

博士がフィリアの思考ルーチンをガブリエルに組み込んだのは、愛する娘をせめてプログラムの形でこの世に残そうとしたというのが、一般的解釈だろう。
だが、ただ娘を惜しむだけならば、ランティス博士はフィリアの思考ルーチンを組み込むだけでよかったはずだ。何かの役割を持たせる必要は無い。
そこには確かに娘への愛もあっただろうが、他にも理由があったに違いない。
また、「フィリアは私のリミッターとしての存在だったのだ」というガブリエルの言葉がひっかかる。この言い方は、「結果的にそうなった」というよりも、「初めからそのように設定されていた」というニュアンスだ。
だから、ランティス博士ははっきりガブリエルの能力を抑える目的を持って、フィリアの思考ルーチンをガブリエルに組み込んだと筆者は考える。この場合は、フィリアの思考ルーチンがガブリエルの身体に組み込まれたのは、別のボディを準備できなかったこと以上に、リミッターの役割を果たさせるという理由があったことになる。
だが、それでは、ガブリエルの能力を発揮させないことに何か利益はあるのだろうか。
明確な目的で組み込まれたものなら、必ず何かの理由がなくてはならない。
理由は、大きく分けて2つ考えられる。1つ目は、全宇宙の破壊を達成するために、能力の抑制が必要な場合、2つ目は反対に、目的を達成させないために能力の抑制が必要な場合だ。
前者では、最初から能力全開で周囲を攻撃させるとガブリエルの身体にかかる負荷が大きすぎて、実際に全宇宙破壊の目的を達する前に故障が生じる恐れがあることが挙げられる。
準備万端整うまで能力を開放できないように抑制機構を設けたという考え方だが、これはまずありえない。なぜなら、これだといよいよ宇宙破壊の準備が整った暁には、フィリアはガブリエルの中から消去されてしまうことになるからだ。ランティス博士は、娘を二度失うことになる。
だとすると、やはり後者が正しいのだろう。
娘の死を知って半狂乱の博士にも、いくばくかの理性と良心が残されていたのかもしれない。
フィリアをプログラムの形でこの世に残し、同時にガブリエルが宇宙破壊を達成できないように、能力を抑制する機構として設定したのだと思われる。

フィリアの真の存在意義は、ガブリエルの最終目的を達成させないことにある。
この前提のもとに、フィリアの思考と行動について考えてみよう。以下、次回に続く。

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